D-STARにDHCPを導入する

 JARLからのIPアドレス(10.で始まるローカルアドレス)の発給が行 われていますが、このIPアドレスとは別に、レピータ網を使用しないので あれば、独自のIPアドレス(通常は、ローカルアドレスを使用します)を割り 当ててID-1同士でデータ転送ができます。また、サーバーを立ち上げて、各種 情報の提供も可能です。レピータを繋がないのであれば、事前登録なしに リピータを使用して、接続することも可能です。このような接続をする場合、 お互いにIPアドレスが重複しないようにしないと、正常な転送ができなくな ります。 このような事態を避けるためには、DHCPによるIPアドレスの自動割り当てが 有効であると考えられます。また、利用者からすれば、その都度IPアドレスの 設定を変更する必要がないなど、便利であると考えられることから、ID-1に よる実用化試験を行って見ました。(現在も運用中です。)

 IPアドレスの重複を避けるために、当方に割り当てられています、AMPRNET のグローバルアドレスを使用して実験してみました。(現在も西東京市のスカ イタワーのサービス範囲であれば、アクセスできます。)各自のPCをID-1に接続し、 PCのネットワーク接続で、「IPアドレスを自動的に取得する」と「DNSサーバーの アドレスを自動的に取得する」を指定して当方のサーバー(埼玉県狭山市 に設置してあります)に直接か、もしくはスカイタワー(東京都西東京市)経由 でアクセスしていただければ、44.129.101.xxのグローバルIPアドレスが自動で 割り当てられます。接続後は、当局のサーバーがamprnetのゲートウェイとして 機能しますので、アマチュア無線のネットワークであるamprnetに自由にアクセ スできます。

ネットワークの問題点
 複数のレピータをつなぐアシスト回線は、DDモードの場合、172.16.xx.xxで 始まるローカルアドレスを各々アシスト局に割り振り、この間でIPによる転送 を行っています。このため、現時点での設定では、DHCPのパケットであるブロ ードキャスト(IPアドレスが255.255.255.255のパケット)が転送されません。 このため、DHCPのサーバーがある単独のレピータのサービス範囲では機能しま すが、複数のレピータをアシスト回線で接続したレピータゾーンに対しては、 機能しない地域も発生します。これを避けるためには、上記の172.16.xx.xxの 間で、DHCPのパケットを転送すように設定する必要があります。いわゆるリレー サーバーです。(JARLのレピータ網で、設定してもらえるのかどうかは不明です。)

電波法上の問題点
 電波法では、アマチュア無線は暗号を使用することを認めていません。データ 転送の場合も同様です。TCP/IPのパケットも例外ではありません。他の局が通常 のリグで他人同士の通信を傍受できることが前提となります。ですので、秘匿を 必要とする情報の転送には、注意が必要です。ただし、パスワードに対する暗号 化のみ、電波法が改正され認められています。(これは、国内法だけですので、 海外と転送を行う場合は、相手国の法律およびRRの適応を受けますので注意し てください。)

2006年10月09日更新
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