JARL NEWSの2013年夏号の「D-STARの現状と将来を知る」でDVAPは、海外仕様であるため 国内では免許が得られないと記述しましたが、日本仕様に変更したものが入手できるようになりました。 この日本仕様のDVAPを入手すればTSSの保証認定で免許(無線局免許状)が受けられます。 但し、同一無線局免許状でDVAP等のアクセスポイントにアクセスすることは認められていませんので注意して 下さい。詳細は、下記の申請についてを参照して下さい。

免許申請について

 現時点(平成25年8月4日現在)では、DVAPやノードアダプターを使用してアクセスポイントを立ち上げる場合、 1つの無縁局免許状(以下、局免と表記)で、アクセスポイントを開設し同一局免で、そのアクセスポイントに アクセスすることは認められていません。この為、DVAPのようなアクセスポイントを開設し、そのアクセスポイントに 自局がアクセスする場合、アクセスに使用する局免とは別の局免がアクセスポイントに必要です。(電波法の解釈に ついては、下記の「電波法の解釈について」を参照してください。)DVAPの場合、移動して使用されることが多いと 思われますので、現時点では移動局の社団局にDVAPを割り当てるのが、一番安全な方法です。 また、ノードアダプターの場合は、移動しないのであれば固定局で開局する方法もあります。

社団局の申請に必要な書類

1.通常の無線局開局の書類以外に、定款と構成員名簿が必要です。
2.DVAPを使用する場合は、送信周波数が日本で許可されている周波数以外送信できない事を証明するため、 dvaptoolの立ち上げ時のコマンドプロンプトの出力のハードコピーを添付して下さい。(出力に変更などを加えないでください。 虚偽申請になります。)
3.ノードアダプターでアクセスポイントを開局する場合は、ノードアダプターの諸元が使用できます。

社団局JK1ZRWの変更申請の経過

 上記理由により、7月26日に当局が代表をしている社団局のJK1ZRWにDVAPの144MHzバージョンと 430MHzバージョン(どちらも日本仕様)を追加するため、変更申請をTSSの保証認定で提出していたのですが、 8月2日付けで許可になり、新しい免許状が8月7日に届きました。 これで、日本仕様に変更したDVAPを社団局で申請すれば、免許が得られることになりました。

注意 社団局JK1ZRWは、パケットの運用で今回と同じ「自局アクセスポイントへのアクセス」が起こり、 この問題を回避するために平成5年に開局したものです。また、DVAPは、製造元で送信周波数を日本の周波数に 変更したものですが、他の変更や付加装置は付け加えてありません。
 これまでに、この申請とは別に関東総合通信局管内では、DVAPに終段増幅器を加え、さらに自分のアクセス ポイントにアクセスしないという誓約書を提出することで、許可になっています。詳細は、CQ誌の2012年5月の 『144MHz D-STAR風QRPトランシーバ「DVAPドングル」』もしくは、趣味のブログの DVAP(DVアクセスポイント)の 免許申請を参照して下さい。

電波法の解釈について

 各総合通信局は「自局アクセスポイントへのアクセス」(1つの局免で、アクセスポイントを開設し同一局免で、 そのアクセスポイントにアクセスする場合です。)は、認めていません。(WiRES、EchoLink, IRLP等のVoIPも同じです。)
 この根拠になっているのは、電波法第五十二条です。他の条文(例えば、電波法関係審査基準の第十五条)を あげられる方もおられますが、「自局アクセスポイントへのアクセス」ができないとするのは、最上位規定の電波法 第五十二条です。法律は、全ての条文が満足されていなければ、違反になります。逆に1つでも条文に抵触すれば 違反と言う事になります。下記に、「自局アクセスポイントへのアクセス」ができないとする根拠となっている電波法 の第五十二条を示しておきます。

第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項 (特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を越えて運用してはならない。ただし、次に掲げる通信については、 この限りでない。
一 遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で 定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
二 緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に 緊急信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
三 安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省 令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
四 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合に おいて、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、 交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
五 放送の受信
六 その他総務省令で定める通信

となっており、この「通信の相手方」に自局が含まれていないという解釈です。その根拠は、 用語の定義を記述しますが

通信: 手紙などで自分の意思やようすなどを他人に伝えること。
相手方: その行為の対象となるもの。(法律用語では 「契約・事件などの一方の当事者」)

となっており、「通信の相手方」に自身は含まれていないことになります。 1つの局免で自局アクセスポイントとの通信が行なえないことになります。(試験電波の送信は、電波法等で 別に定義されています。また。受信に関しては、電波法での制限を受けることはありません。) この解釈は、現在どの総合通信局でも同じようですので、DVAP(アクセスポイント)とアクセスする局の局免を別にしないと (移動局と固定局とで分ける方法でも可)違法運用と言う事になります。これは、WiRES、EchoLink、 IRLP等のVoIPでも同じです。

変更履歴

2013.08.04 初版
2013.08.06 「電波法の解釈について」に加筆・修正を行いまいた。また、問題の字句を赤色で表示しました。
2013.08.08 TSSの保証認定経由の変更申請の結果を追加しました。
2013.08.11 法律の解釈の説明を追加しました。
2013.08.13 「変更申請の経過」の説明文の一部を加筆・修正しました。
2013.09.05 日本仕様のDVAPであれば、免許が受けられる旨の記述を追加しました。 2017.06.05 一部修正しました。

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2017年06月05日更新
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