デジタル信号処理
D-STARでは、デジタル信号をGMSK、QPSKもしくは4値FSKで変調して転送を実現している。
(現在市販されているリグは、GMSKによる変調が採用されている。)このデジタル信号
であるが、仕様書のパケットの構成を見ていただければ分かるように、フレームによる
処理を前提としており、バイト(8ビット)単位の処理ではなく、ビット単位の処理である。
このため、通常のシリアルの入出力が使用できないので、専用処理が必要である。
無線部ヘッダー処理について
現在市販されているD-STARのリグは、デジタル信号をGMSKで変調して転送を実現している。
特にDVモード(音声通信)では、4800bpsで変調されている。このため、現在市販されてい
るFMリグのうち9600pbsのパケット入出力端子を持つリグであれば、アダプターを自作する
ことによって、D-STAR仕様のリグとして使用できることになる。
(「CMX589Aを使用してノードアダプターを作る」に
自作の方法が書いてありますので、そちらを見てください。)
まず受信の場合を考えてみる。
ビット同期
D-STAR仕様のフレームは、まず最初 GMSKの場合1010の
ビット列が64ビット続く「ビット同期」信号で始まる。受信側では、このビット数を検出
するのでなく、この1010を使用して、以後のビット列のタイミングを取るだけである。
フレーム同期
ビットの同期が取れれば、次は、111011001010000 の15ビットが来るのを待つことに
なる。フレーム同期である。このビット列を検出後、660ビット読み込む。
インターリーブ
この660ビットを、24ビットのインターリーブで元に戻す。660ビット列の最初から
24ビット毎にビットを拾い上げ、左からビット列を詰めていき、最後まできたら、
最初に戻り次のビットから同じ処理を行う。この処理が660ビット全てについて行う。
畳み込みの復調
660ビット列から、畳み込み符号の復調を行い、41バイトに戻す。
CRC-CCITT
復調した41バイトについて、CRC-CCITTの手法でエラーチェックを行う。正常であれば、
この無線部ヘッダーを以後の処理に採用する。
以上の処理が終了すれば、無線部ヘッダーの内容が表示できることになる。
送信の場合を考えてみる。
CRC-CCITT
無線部ヘッダーの39バイトについて、CRC-CCITTの手法でCRCを生成し、41バイトの
ヘッダーを作成する。
畳み込みの符号化
41バイト列を、畳み込み符号化を行い、660ビット列にする。
インターリーブ
この660ビットを、24ビットのインターリーブをおこなう。660ビット列の最初から
24ビット毎にビットを拾い上げ、左からビット列を詰めていき、最後まできたら、
最初に戻り次のビットから同じ処理を行う。この処理が660ビット全てについて行う。
このビット列を、最初ビットフレームを送信し、引き続きフレーム同期信号を
送信し、その後上記の660ビットを送信する。その後、音声部分を送信する。
送信する音声の情報が無くなったら、1010(GMSKの場合)の繰り返しを32ビット
続け、その後 00010011010111 + 0 を送信して終了する。
ビット同期
GMSKの場合1010のビット列が64ビット続く「ビット同期」信号を送信する。
フレーム同期
111011001010000 の15ビットのビット列を送信する。
以上でDVモードの送信ができる。
2005年05月03日更新
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安田 聖(やすだ さとし)7M3TJZ
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