D-STAR Stande Alone Access Point (SAAP)

これまで、国内のレピータにはDPlusと呼ばれるソフトがインストールされていなかったこともあり、DVAR(HotSport)に代表されるDPlusにアクセスする プログラムは使用できませんでした。また、これまで、このプログラムを使用して海外の同報通信のリフレクターにアクセスすることは出来ましたが、 国内では実現していませんでした。しかし、最近、国内にもリフレクターが2つ(平成25年2月10日現在)、DCSサーバーが1つ(平成25年2月10日現在)開設されています。 これらにアクセスするためには、Dongleやノードアダプターを使用したDVAR等のPC上で動くソフトが必要ですが、本装置は、PCの代わりにMicrochip社のPIC32MXのEthernet Starter Kit(DM320004)を 使用して、同じ機能を実現したものです。
なお、このアダプター自身では、使用できませんので注意してください。ノードアダプターV7(V07.60以降のバージョン)とノードアダプターに接続した無線機が必要です。また、送受信にはDVモードが使用できる無線機が必要です。

国内の現在のリフレクターの稼働状況
REF008 REF008のアクセス状況
REF047 REF047のアクセス状況

国内のDCSサーバー
DCSの稼動状況
この中で、DCS021が国内で稼働しているサーバーです。

国外で日本語が使用できるDCSのモジュール
DCSの稼動状況
この中で、DCS002のモジュールMが日本語でQSOできます。
交信の模様のビデオ
交信の模様のビデオ
上記のREF047に接続して交信している模様のビデオが見られます。(SAAP V3のLCDとLEDの表示を説明する目的の為のビデオですので、 一部割愛してあります。)なお、このビデオはJE3HCZ局とJH7OMK局の許可を得て公開したものです。

開発状況

・DCSサーバーの新しいプロトコルに対応しました。
・SAAPでRF側からのGPS信号を「APRSサーバーに転送する」を指定している場合、ノードアダプターとSAAPで受信したGPSを全て削除してリフレクターやDCSサーバーに転送するようにしました。(他の情報の削除は行っていません。)
・XBee Wi-Fiを使用してWiFiで使用できるようにしました。
・ヨーロッパで主流になりつつある、DCSサーバーに接続できるようにしました。
・DPRSの機能を組み込みました。これにより、SAAPに接続しているノードアダプターで受信している情報の中から、GPS情報を検出した場合は、 これらの情報を指定したAPRSサーバーに転送します。また、GPS情報を自動送信している場合、このパケットを識別して、リフレクター側に出さな いようにしました。
・Webからファームウエアーが更新できるようにしました。バージョンが00.22以降です。最初だけ、pic32mx.hexをMPLABのIDE経由で書き込みます。以後。Webからのアップデートが可能です。
・PIC32MX版SAAPに、簡易サーバーモードを追加しました。このSAAPに複数のDPlusプロトコルをサポートしたクライアントを接続可能です。
・ftpサーバー機能を追加しました。対象になる保存先は、SDカードです。現在の機能は、アクティブftpで、get、put、list、cd、dele、mkdir、rmdirが 使用できます。

各局の製作記事等
今後製作される方の参考になります。
JE3HCZ局のプログ
JP1LMJ局のWebサイト

PIC32MX Ethernet Starter Kit (DM320004)

PCの代わりに使用するPIC32MX Ethernet Stater Kit DM320004) とマザーボード(V3)、XBeeそしてLCDです

使用ファイル


準備

PIC32MX ESKの準備
1.ESKにY3とC15,C16とシルクでマーキングされている部品を、実装する必要があります。Y3は、32.768kHzの筒状の水晶です。また、C15とC16は、33pFのコンデンサーです。表面実装する場合は1608タイプのコンデンサーが使えます。
2.JP2のジャンパーを外します。
3.外部電源は、7V-14Vです。(14V以上、供給しないでください。電源用ICが破損します。

ノードアダプターのファームウエアーの更新
SAAPで使用するためには、V7の場合はは、V07.60以降のバージョン(V6の場合は、V06.60以降のバージョン)に更新する必要があります。更新する必要がある場合は、下記の手順で更新してください。 PICプログラマーやライターは使用しないでください。ブートローダーが破壊されます。
1.node_update_client.02.08.zipをダウンロードします。(node_update_client.exe と fw_update.exe が入っています。)
2.上記ファイルを解凍します。
3.コマンドプロンプトから node_update_client -p 889  とタイプしてプログラムを実行します。(-p 889 は半角小文字で指定すること。)
4.実行時に、ファームウエアーを更新するかどうか聞いてきますので、Yesを返してください。

Bootloaderの書き込み方法
1.Microchip社の開発環境であるMPLABのIDEをhttp://www.microchip.com/stellent/idcplg?IdcService=SS_GET_PAGE&nodeId=2592&v=0からダウンロードします。
2. 1.Ethernet Starter KitのデバッグポートのUSBから書き込みます。書き込みにはMicrochip社の開発環境であるMPLABのIDEを使用します。MPLAB IDEをインストールし、 FileのimportでHEXフィルを読み込み、その後DebuggerのSelect ToolからPIC32 Starter Kitを選択して書き込みします。一度書き込めば(Bootloaderのバージョンアップを除いて)以後、この処理は必要ありません。
SAAPの準備(ブートローダーを書き込んだ直後のファームウエアーの書き込み)
1.マイクロSDカードを準備します。
2.上の「最新リリース情報」のAudio & Access control fileをダウンロードします。()内はバージョンです。
3.ダウンロードしたファイルを解凍し、SDカードにコピーします。
4.上の「最新リリース情報」のHex Fileをダウンロードします。()内はバージョンです。
5.ダウンロードしたnode.hex を IMAGE.HEX に名前を変更し、SDカードに書き込みます。(半角大文字です)
6.SAAPにこのSDカードをセットします。
7.電源を接続します。SDカードからファームウエアーがPIC32MX ESKに書き込まれます。

SAAPの準備(ファームウエアーの更新)
1.新しいファームエアーをSourceforge.jpからダウンロードします。上の「最新リリース情報」のHex Fileです。()内はバージョンです。
2.SAAPのWeb画面を立ち上げます。(http://dsquare_saap で立ち上がります。)
3.SAAP Setting -> Firmware Update を選びます。
4.ユーザー名とパスワードを聞かれた場合は、変更していなければ、 admin と microchip を入力します。(全て半角小文字)聞かれなければ、5.に移ります。
5.「参照」をクリックして、1.でダウンロードしたファイルを指定します。
6.5.でファイルの指定が終わりましたら、「Update」をクリックします。
7.「Are you sure?」と聞かれますので、ファームウエアーの更新をする場青は、「Yes]をクリックして下さい。
これでファームウエアーの更新ができます。(LCDに処理の経過が表示されます。)
初期値等の情報
User ID: admin
Password: microchip

PIC32MX ESKのSWの機能
・SW1 初期値に戻します
・SW2 リセットします。5秒以上押しますと、X-CTUモードに切り替わります。また、X-CTUモード時に、5秒以上押しますと、元に戻ります。
・SW3 SAAPに設定されているIPアドレスを表示します。(DHCPを使用している場合は、取得したIPアドレスを表示します。)、また、リセット時にこのスイッチが押されていますと、SDカードに書き込まれていますファームウエアー(IMAGE.HEX)をPIC32MX ESKに書き込みます。(10秒以上押した場合は、IMAGE.OLDが、更に10秒以上押しますと、NODE.HEXが書き込まれます。)

LCDの表示
QSO中の表示
一行目 Myコールサイン(拡張4文字を含む)、フラグエリアの第一バイト目の16進表示
二行目 URコールサイン、無線からの情報の場合Radioインターネットからの場合Inet
が表示されます。

運用編

RPT1,RPT2の設定
通常の交信時には、RPT1、RPT2を設定する必要はありません。DUP(リピータを使用する)が指定されていなければ、 SAAPがRPT1にSAAPに設定されたコールサインをRPT2に接続されたリフレクター名を設定します。 DUP(リピータを使用する)が指定されていれば、その設定がリフレクターに送られます。

Webからの各種設定
各種設定は、有線で接続したPCのWebから行えます。(WiFiからは、設定できません。)
SAAPに割り当てられたIPアドレスが分からない場合は、http://dsquare_saap でアクセスしてみてください。

無線機からのリフレクターの接続・切断(接続先の変更)の方法
SAAPのNetwork Configurationの画面でDisable link/Unlink from RFにチェックが入っていなければ、無線機からリフレクターの接続・切断、接続先の変更ができます。
・接続する場合 URの8文字目にLを1−7文字目にリフレクター名を入れます。このとき、リフレクターの8文字目を7文字目に置き換えます。例えばREF047 Cの場合REF047CLのように指定します。 他のリフレクターに接続中であれば、新しい接続先に変更されます。接続後、交信を行うには、URの設定を変更して下してください。Lが指定されたままでは、再接続の処理が繰り返されるだけで、交信は出来ません。
・切断する場合 URの8文字目にUを指定します。1−7文字目は、無視されます。
・SAAPを再起動する場合 URの8文字目にRを指定します。1−7文字目は、無視されます。

リフレクターのモジュール名に「*」を指定して接続した場合
インターネットから送られてくる全モジュールのモニターが可能です。ただし、複数のモジュールが同時に使用されている場合は、最初にインターネットから受信したモジュールのみが、ノードアダプターから送信されます。その後、この送信が終了した場合、 その後最初にRFヘッダーを受け取ったモジュールが送信されます。ただし、無送信時に受信している無線機からモジュールを指定して送信した場合(RPT1もしくはRPT2にリフレクター名を指定し、DUPを設定した場合)、送信終了後20秒以内に相手から応答があれば、インタネット側から他のモジュールが送信されていても、 この応答に切り替わります。なお20秒過ぎている場合は、切り替わりません。(シーケンスの例

注意事項

PCI32MX ESK
・PIC32MX ESKのJP2のジャンパーは取り外して使用して下さい。

基板の修正情報(V1ボードのみ)
一箇所パターンが間違っています。Starter Kitを乗せるコネクターパターンが一箇所間違っています。正しいピンの隣のNCピンに 接続されています。隣の正しいいピンとこのNCピンの間を半田ブリッジで接続してください。修正箇所の写真が、sourceforge.jp にMod Infoとしてアップしてありますので、そちらを見てください。
Starter KitのCD
最近のStater Kitには、開発環境のソフトウエアーが入ったCDが同梱されなくなっています。これらのソフトは、 Starter Kit用ソフトウエアー から、ダウンロードできます。
その他の情報
このボードは、ノードアダプター込みで、約400mA消費します。この関係で7805等をを使用する場合、入力電圧によってはかなり発熱します。 このため、ヒートシンク無しでは長期運用に耐えられませんので注意してください。入力電圧が6Vから14Vですが、ローム社の BP5275-50が、ヒートシンク無しで7805の代わりに(コンデンサー等の外部 部品は必要ありません)使用できます。
V2ボード以後はこのICを使用しています。この関係で、14V以上印加しないで下さい。
部品情報
・PIC32MX ESKに使用する水晶は、時計に使用されている筒状のもので、セイコーインスツル株式会社(SII)製のVT-200-F 32.768kHzが使用できます。 この水晶は、秋月電子通商等で入手できます。また、負荷容量として22pFを使用するように指定されていますが、この容量では正規の周波数より高い周波数で発振するようなので、33pFを使用してください。
・PIC32MX ESK(DM320004)は、DigiKey等で入手可能です。
・XBee Wi-Fiは、秋月電子通商で入手できます。XBee Wi-FiモジュールPCBアンテナタイプが使用できます。(アンテナタイプが違うモジュールも使用可能です。) なお、PCBアンテナタイプのモジュールを使用される場合は、金属ケースにSAAPを収納しないで下さい。
・5V用のスイッチングレギュレータ(BP5275-50)ですが、ザイコストアードットコムで入手可能です。

よくある質問

F. ID-32/ID-51で音声が聞こえないのですが
A. ID-32/ID-51は、他のDVモードが使用できる無線機に比較して変調が深くないと復調できません。ノードアダプターに接続している使用している無線機によっては、 ノードアダプターのTXレベルの調整用のトリマーでは調整できないことがあります。この場合は、ノードアダプターのシルクでR10と記述された100Kの抵抗を330Kから510Kの間の抵抗に取り替えてください。

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